Sunday, January 1, 2017

23 記録 2

23 記録


記念 (ヘブライ語 Zikkaron[ジッカロン]、ギリシア語 Anamnesis[アナムネーシス])


神の偉大な救いの業は過去のものでありながら、歴史の流れと意味を変えるものであって、その力は現在にも続いており、やがて終末の完成を目指している。歴史的現実を土台として、キリスト教の典礼のすべては、救いの歴史の記念であるということができる。

アナムネーシス(記念、想起、記憶して行うこと)は、単に過去の出来事を主観的に思い起こすだけではなく、想起を通して、偉大な救いの業を現在の恵みの働きとして、現在化するものである。いくつかの要素をあげると、

1)記念の対象となる出来事は、どんな過去の出来事でもよいのではなく、救いの歴史の決定的なモーメントでなければならない。たとえば、出エジプトやイエスの死と復活。淡路大震災の時の人々の助け合いも記念されるが、救済史の出来事ではない。

2)救いの出来事の記憶を保つのは信仰共同体である。出エジプトによって生まれた「神の民」、あるいはイエスの復活によって誕生した新しい神の民のなかに、その記憶が保たれ、引き継がれていく。

3)救いの出来事を想起して、現在化する場は、信仰共同体の典礼であり、礼拝行為を構成する諸々のシンボルである。その中でも、「物語」(聖書朗読、説教、祈願)が核となる。物語を通して、原初の出来事が共同体のなかで追体験され、またその物語が儀式化されて演じられるとき、共同体の絆と記憶はさらに深められる。

4)記念される出来事の意味は、典礼の枠を超えて、日常生活のなかに反映されていなければならない。もともと日常の体験のなかにあるものが、典礼の儀式によって解釈され、明確化されて、再び日常生活を強めるものとなる。この関連が弱くなると、共同体の記憶は浅薄なものとなり、儀式も形骸化してしまう。