Friday, March 8, 2013

Palm Sunday Dominica in Palmis de passione Domini


受難の主日(枝の主日)2006年4月9日(日)
マルコによる福音(11:1-10,15:1-39)

本日は、主イエスのエルサレム入城が記念されます。イエスさまがロバの子に乗ってエルサレムに入ってゆかれる姿に民衆は、今こそイスラエルの王による平和(=救い)が実現するのだという大きな期待を抱いたのです。待ちに待った王の登場です。「ホサナ!主の名によって来られる方に、祝福があるように。我らの父ダビデの来るべき国に、祝福があるように。いと高きところにホサナ」!群衆の熱狂的な叫び声が私たちにも聞こえてくるような気がします。何百年も待ち続けた救い主の到来、ダビデ王の再来です。

<軍馬に乗らない王>

 熱狂的に叫ぶ民衆の期待はあっけなく裏切られてゆきます。神に立てられた王だと思ったイエスは全くもって無力でした。イスラエルをローマ帝国から解放しないばかりか、エルサレムでは力ある業を何もなされない。それどころか、神殿でむちゃくちゃに大暴れして商人たちを追い出したり、祭司長、ヘロデ派、サドカイ派など、イスラエルの指導者階級を徹底的に批判非難したりした。最後はエルサレム神殿の崩壊を預言したりして、全く王としての救いの業を行おうとしない。「イエスは本物の王ではない。あいつは偽物だ」。人々はそう思ったに違いありません。

 民衆の失望はすぐさま怒りへと変わってゆきました。ホサナと叫んだその同じ口で、彼らはやがてイエスを十字架につけろと叫び始めるのです(マルコ15:6-15)。そしてイエスは十字架にかけられてあっけなく殺されてゆきます。ジ・エンドです。すべては何事もなかったかのように元に戻ってゆきました。イエスなど存在しなかったかのように。一つの石が水に投げられると波紋が生じますが、すぐさまその波紋も消えていってしまうのと同じように。しかし私たちは知っています。「家を建てる者の退けた石が、隅の親石となった」ということを。人間の思いを遙かに越えるような仕方で、十字架の無力さと惨めさ、辱めにおいて神の救いのみ業が成し遂げられたことを。何も起こらなかった、何も変わらなかったように見えるまさにその場所で、神の救いのご計画が成し遂げられたということを。

  私たちはここで第二朗読を思い起こします。「キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした」(フィリピ2:6-8)。「実に、キリストはわたしたちの平和であります。二つのものを一つにし、御自分の肉において敵意という隔ての壁を取り壊し、規則と戒律ずくめの律法を廃棄されました。こうしてキリストは、双方を御自分において一人の新しい人に造り上げて平和を実現し、十字架を通して、両者を一つの体として神と和解させ、十字架によって敵意を滅ぼされました」(エフェソ2:14-16)。

<私たちに近づいてきてくださる王>

 私たちはきょうから始まる聖週間の期間を、無力で無価値な子ロバに乗ったキリストの到来を私たちの心の中にお迎えする準備の時として過ごしたいと思います。エルサレムは悲しみや苦しみ、怒りや憎しみや争いが満ち満ちているこの世界を表しています。暴力の支配するこの世界に、主が全く無力な姿で十字架にかかるために来てくださった。しかしその十字架には、この世的な暴力や敵意、憎しみを木っ端みじんに粉砕するほどの神の力が隠されていた。憎しみの力は物事を破壊するだけですが、愛の力はたとえそれがどれほど無力に思えたとしても物事を造り出してゆきます。私たちの王は無力さの中に最高の力を秘めていたのです。

 この力に身をゆだねるとき、私たちはパウロと共にこのように言うことができるのです。「わたしたちは、このような宝を土の器に納めています。この並はずれて偉大な力が神のものであって、わたしたちからでたものでないことが明らかになるために。わたしたちは、四方から苦しめられても行き詰まらず、途方に暮れても失望せず、虐げられても見捨てられず、うち倒されても滅ぼされない」のだと(2コリント4:7-9)。このような神の国が必ず来る。いや、私たちのただ中に既に来ている。我々の先祖が生涯を貫いて神の国の到来を確信し続けたように、私たちもまた、上からの力をいただいて神の国の到来を待ち望みたいのです。

聖週間は特に、肉の心と石の心が激しくぶつかる時でしょう。だからこそ、イエスと共に歩むために
恵みを熱心に願う時です。十字架の苦しみを共に担いながら、イエスの愛に一層近づくことができますように。


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